放流された海遊館のジンベエザメはなぜ死亡したのか

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放流された海遊館のジンベエザメはなぜ死亡したのか 動物

2024年10月、海遊館で飼育されていたジンベエザメ「海くん」が太平洋へ放流されました。

しかし、放流から約1か月後の11月6日、「海くん」は命を落としてしまいました。
この記事では、今回のニュースの経緯や放流にまつわる背景などについて解説します。

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放流されたジンベエザメ死亡の経緯

11月5日午前、愛媛県宇和島市の岩松川で、体長約6メートルのジンベエザメが見つかりました。

場所は河口から1キロほど上流で、普段ジンベエザメがいる場所ではありませんでした。

翌6日、川の中で沈んでいるのが発見され、死亡が確認されました。

このジンベエザメは、放流された「海くん」と判明しました。

このあと、高知県土佐清水市の海遊館の研究施設へ運ばれ、調査が行われる予定です。

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海遊館のジンベエザメ「海くん」

海くん」は、海遊館で飼育されていたジンベエザメで、年齢は推定8〜9歳。

海遊館のオスのジンベエザメは代々「海くん」を名乗り、今回の「海くん」は8代目でした。

もともとは2019年に高知県で網にかかり、その後海遊館へ。

5年の飼育のあと、2024年10月3日に高知県土佐清水市の太平洋へと放流されました。

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今までに放流されたジンベエザメ

海遊館は、今までもジンベエザメをなんども放流してきました。

例えば、4代目の「海くん」は6年間飼育されたあと、5代目は3年10か月後、7代目は3年の飼育期間のあと、海に戻されました。

通常、放流されたジンベエザメは問題なく海で生活できていることが多く、今回のように放流後すぐに死亡が確認されたのは初めてのケースです。

また、日本では、海遊館以外にかごしま水族館も定期的にジンベエザメを放流しており、代々「ユウユウ」と名付けられた個体が飼育されています。

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ジンベエザメを水族館で飼育し続けることの難しさ

「ずっと水族館で飼育するほうが良かったのでは?」という意見もあると思います。

ただ、実際にジンベエザメを水族館で飼育し続けるのは容易ではありません。

ジンベエザメは体長5.5〜12メートルほどに成長し、全長13メートル以上の個体も存在するほど大きな魚です。

ジンベエザメの飼育には、大型の水槽が欠かせません。

沖縄美ら海水族館の『黒潮の海水槽』は深さ10メートル、幅35メートル、奥行き27メートルを誇り、世界でも3位の大きさです。

また、海遊館の「太平洋」水槽も深さ9メートル、水量5400トンと大規模サイズ。

かごしま水族館の黒潮大水槽も縦13メートル、横25メートル、深さ5メートルあります。

しかし、大きな水槽があっても、成長し続けるジンベエザメにとっては窮屈に感じられることがあります。

ジンベエザメを水族館で飼育するさいのケア

例えば、沖縄美ら海水族館では、ジンベエザメが方向転換や、他の魚とすれちがうときに水槽の壁に体がこすれることがあります。
そのため、水槽の一部には保護用シートを設置しています。

また、飼育スタッフが新しい傷ができていないかチェックするなど、ジンベエザメが水槽内で安全に過ごせるよう、日々細心の注意を払っているのです。

ジンベエザメの成長について

ジンベエザメは何歳くらいまで成長するのでしょう?

ジンベエザメは寿命が100~130歳とされ、25歳で大人になると言われています。

沖縄美ら海水族館で飼育されている「ジンタ」は1995年から飼育されています。

当初の全長は4.6メートルでしたが、29年経った2024年には8.8メートルに成長しています。

このように、長期間水槽で飼育していると、ジンベエザメはどんどん成長し、広い水槽でも限界があるのが現実です。

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専門家の判断で決まった『海くん』の放流だが…

今回の放流は、専門の飼育チームや研究者が血液データや体調を確認し、自然で生活できると判断した上での放流でした。

これまでにも他のジンベエザメが放流後、無事に生きてきた事例があったため、今回も自然に適応できると考えられていました。

しかし、何らかの予期せぬ要因が重なり、今回の悲しい結末となってしまったようです。

また、海遊館の飼育スタッフも「海の沖合で生活するジンベエザメにとって、川の河口近くの塩分濃度が低い環境はかなり厳しいものであった可能性がある」と語っています。

海でなく川のほうに行ってしまったことで大きなダメージとなったのかもしれません。

海遊館・飼育スタッフのコメント

海遊館のスタッフも「なぜ亡くなってしまったのか全くわからない」としながらも、「今後学術的な解剖を通してジンベエザメの生態解明に役立てたい」とコメントしています。

今回の「海くん」の放流とその死は、多くの人々にとって大きな衝撃でした。

広い海で生き抜いてほしいという願いは叶わなかったものの、この出来事が今後のジンベエザメの研究や飼育方法、放流のあり方にとって大きな教訓となることを期待したいと思います。

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