今回は、大阪の水族館「海遊館」で行われたジンベエザメの放流についてお話しします。
2024年10月、海遊館で飼育されていたジンベエザメが野生に返され、新しい個体と入れ替えられました。
今回は、「水族館で育ったジンベエザメが野生に帰ってちゃんとやっていけるのか」や、ジンベエザメが海に放流される理由を詳しく見ていきます!
(2024/11/6 追記)残念ながらジンベエザメは死亡してしまいました。
「ジンベエザメを海に放流して大丈夫」な理由
海遊館のスタッフによると、今回放流されたジンベエザメは、血液データなどをもとに体調が良好と判断されたため、海に返されることが決まったそうです。
「水族館で育ったジンベエザメは野生で生き残ることができるのか?」と心配されることもありますが、海遊館では野生時と同じような餌を与えているため、食べ物を得る習性は失っていないとのこと。
また、過去には6カ月間の回遊調査が行われており、飼育されたジンベエザメが自然環境でもしっかりと生きていけることが確認されています。
調査結果や前例、そしてデータをもとにして、今回も放流が問題ないと判断されたのですね。
海遊館のジンベエザメ「海くん」放流について
2024年10月、海遊館にいたジンベエザメが放流され、新たに別の個体がやってきました。この「入れ替え」プロジェクトは定期的に行われているものです。
海遊館のジンベエザメの名前
海遊館ではオスのジンベエザメを「海(かい)」、メスを「遊(ゆう)」と名付け続けています。
今回放流されたジンベエザメも新しく来た個体もオスで、どちらも「海くん」と呼ばれています。
2024年10月にやってきた海くんで9代目。遊ちゃんは2024年10月現在、4代目です。
海に戻ったジンベエザメ「海くん」
先代の海くんは推定8~9歳で、2019年に高知県で網にかかったのをきっかけに海遊館へやってきました。
そして2024年10月3日、高知県土佐清水市の太平洋に再び放流されました。
海くんには背びれに泳いでいる場所や深さを記録する装置が取り付けられており、1カ月間の調査が行われます。
その後は装置が自動で外れ、海くんは自然の中で暮らしていくことになります。
新しく来たジンベエザメ「海くん」
一方で、新しい海くんは推定4~5歳で、10月2日に高知県にある海遊館の研究施設から到着しました。
体長は4.7メートル、体重は700キロとまだ若い個体です。
ジンベエザメをなぜ海に放流するの?
海遊館は水族館としてだけでなく、研究施設としても重要な役割を果たしています。
さきほども書きましたが、ジンベエザメを放流するさいには、データを記録する装置を取り付け、生態調査を行います。
ジンベエザメは絶滅危惧種であり、その生態はまだ不明な点が多いため、放流で得られるデータは将来的な保護活動や保全に役立つと期待されています。
また、野生でジンベエザメがどのように生活しているのか、飼育された個体が自然環境でどのように順応するのかを調べるためにも、こうしたデータの蓄積は非常に重要です。
今回の海くんの放流が、新しい発見や保護活動に繋がるかもしれません。
まとめ
ジンベエザメを海に放流しても大丈夫な理由は、徹底した体調管理や過去の調査データに基づいて決められているから、でした。
(2024/11/6 追記)しかし残念ながらジンベエザメは死亡してしまいました。もっと広い海で長生きしてほしかったです。
せめて、この出来事によって今後のジンベエザメの研究や飼育方法、放流のあり方について良い変化があることを期待したいです。