みなさん、警察犬ってどんな犬を思い浮かべますか?シェパードやラブラドールのような大きな犬を想像する人が多いかもしれません。
でも実は、小さなトイプードルも立派な警察犬として活躍しているんです。
今回は、そんな“スーパートイプードル”として話題になっている警察犬「アンズ」とその娘「エリー」の親子の活躍をご紹介します。
警察犬アンズが行方不明者を発見!表彰される
【お手柄】トイプードルの警察犬「アンズ」、行方不明の高齢男性を見つけ表彰https://t.co/hvMOjjraBW
— ライブドアニュース (@livedoornews) June 12, 2025
男性が朝まで着ていたパジャマのにおいを手がかりに、「アンズ」はわずか45分ほどで真っ暗な山の中で男性を発見した。「アンズ」が行方不明の人を見つけて感謝状を受け取るのは、今回が4回目。
2025年4月30日、茨城県で90歳の男性が行方不明になりました。
家族からの通報を受けて、日立署は警察犬の出動を要請。
呼ばれたのは、嘱託警察犬のアンズとその飼い主であり、警察犬指導士の鈴木博房さんでした。
このとき鈴木さんは、飼っている3匹の警察犬の親子を連れて現場へ。そのなかで、アンズが「自分が行く!」と言わんばかりにアピール。そんなアンズの意欲に応えて、捜索に参加させました。
アンズは男性の服のにおいをたよりに、捜索をスタート。そしてなんと、わずか45分後に男性を発見!男性は軽いすり傷のみで無事だったとのことです。
この活躍が評価され、6月12日に日立署から表彰されました。
アンズには表彰状と一緒に、ご褒美のジャーキーなども贈られたそうです。
アンズの娘・エリーも活躍!
母の背追って…警察犬に兄妹トイプードル 「日本一活躍」アンズの子
— 毎日新聞映像グループ (@eizo_desk) February 9, 2022
オリジナル版は→https://t.co/9nuEkYycV4 pic.twitter.com/uvx3iIRBhE
アンズの娘である「エリー」(7歳)と息子の「エディ」(7歳)も、嘱託警察犬として活躍中です。
2025年5月14日には、80代の女性が帰宅しないという通報があり、茨城県警大子署からの要請でエリーともう1頭の警察犬「ハッシー」が現場へ。
ふたりは交代しながら捜索を続け、その日のうちに女性を無事発見。女性にけがもなく、迅速な対応が称えられました。
5月23日には、エリー・ハッシー・鈴木さんの3者が表彰されました。
ベテラン警察犬アンズの生い立ち
アンズは現在12歳。
実は、小型犬として茨城県内で初めて警察犬に採用されたトイプードルなんです。
しかも、元々は飼育放棄され、殺処分寸前だったところを2013年に鈴木さんが引き取った犬でした。
最初は人間に対する恐怖心が強かったのですが、先輩警察犬たちと一緒に地道に訓練を積み重ね、ついに嘱託警察犬の試験に合格しました。
こちらはアンズがはじめて嘱託警察犬となった時の動画です。
当初は「こんなに小さい犬で大丈夫?」と不安の声も多かったそうですが、数々の成果をあげて今では立派な“ベテラン”。
人間の年齢でいうと60歳を超えていますが、経験と勘を生かし、いまでも元気に捜索活動を続けています。
トイプードル警察犬アンズの本
アンズの歩んできた道のりは、書籍化もされていて、「がんばれ、アンズ! けいさつ犬になったトイプードル」などシリーズ4冊が出版されています。
2025年夏には新作『おかあさんになった警察犬アンズ』も発売予定とのことです。
嘱託警察犬とは?
警察犬には大きく分けて「直轄警察犬」と「嘱託警察犬」の2種類があります。
直轄警察犬は警察が直接育てている犬ですが、嘱託警察犬は民間の飼い主が訓練している犬を、警察が年に1回の試験を通じて認定し、出動を依頼するというスタイルです。
令和7年1月現在、日本国内では直轄警察犬は153頭、嘱託警察犬は1057頭います。
茨城県などでは直轄警察犬はおらず、すべて嘱託警察犬でまかなっています。
嘱託警察犬になれる犬種が増えてきている
直轄警察犬になれるのは
- シェパード
- ドーベルマン
- ラブラドールリトリーバー
- ゴールデンリトリーバー
- ボクサー
- エアデールテリア
- コリー
の7種類です。
しかし、嘱託警察犬は犬種の制限がなくなってきており、トイプードルのような小型犬でも試験に合格すれば警察犬として活動できます。
警察犬としての出動には1回数千円の報酬も出るんですよ。(制限や報酬は各都道府県により異なる)
和歌山県のミニチュア・シュナウザー「くぅ」(警察犬の登録名は「クリーク号」)は2010年1月、日本で初めて小型犬種として嘱託警察犬になりました。
こちらは2025年度の富山県警嘱託警察犬の審査に合格したキャバリアのメルちゃんです。
トイプードルが警察犬として活躍する理由
「小さくてカワイイだけじゃなく、実は頼もしい」——それがトイプードルなど小型犬の警察犬の魅力です。
大型犬のように目立たないため、家族など事件関係者のプライバシーを守りながら捜索できるメリットがあります。
さいきんは大型犬が捜索していると、「事件だ!」とSNSで拡散されてしまうという事例が増えています。小型犬の警察犬だとふつうの散歩にみえるため、その点は安心。
大型ショッピングモールの捜索などでは「大型犬は目立つからNGだけど、小型犬ならOK」という施設もあるそう。
さらに、トイプードルなどの小型犬は体が小さいぶん、地面に近いところのにおいも敏感にキャッチしやすいんです。
狭い場所に入れるという利点もあり、大型犬では対応できない場面で力を発揮しています。
まとめ
アンズとエリー親子のようなトイプードル警察犬が、私たちの暮らしを守ってくれているなんて、本当に心強いですよね。
小さな体に大きな使命を抱えて、日々がんばっている姿には胸が熱くなります。
今後の活躍にも期待が高まりますし、アンズたちの物語から「どんな境遇でも努力すれば道は開ける」という勇気ももらえます。ぜひ、書籍やニュースで注目してみてくださいね!