台風が近づいてくると、ニュースで「強い台風が接近中!」や「大型の台風が…」といった表現をよく耳にしますよね。
しかし、これらの表現には実は気象庁が定めた基準があることをご存知でしょうか?
今回は、台風の進むスピード、強さ、大きさの基準について、さらにニュースでよく聞く「ヘクトパスカル」についても詳しく解説していきます。
「強い台風」「大型の台風」には基準があった
実はニュースや台風情報でいわれる台風の「強さ」「大きさ」は、具体的な数値や条件に基づいています。
平成12年6月1日からいまの表現にかわりました。
それより前は気象庁の区分として「弱い熱帯低気圧」や「小型台風」「中型台風」という表現がありました。
しかし台風が「小型」と表現されているために過小評価して、十分に身を守れない事例がありました。
そのため、表現がかわったのです。
台風の「強さ」は最大風速できまる
台風の「強さ」は、台風の中心付近の最大風速で決まります。
風速の単位はm/s(メートル毎秒)で表されます。
例えば、風速10m/sであれば、空気が1秒間に10メートル移動するような風の強さです。
いいかえると、100メートルを10秒で走る人と同じ速さということになります。
台風の「強さ」の分類
気象庁では、熱帯低気圧の最大風速が約17.2メートル以上(34ノット)になると「台風」と呼ばれます。
そして、台風の強さは、最大風速が
- 33メートル以上44メートル未満で「強い台風」
- 44メートル以上54メートル未満で「非常に強い台風」
- 54メートル以上で「猛烈な台風」
と表現されます。
海の上の台風の風速はどうやってはかるの?
ちなみに、台風が海の上にいるときには実際の風速を測定するのが難しいため、「ドボラック法」という方法で、気象衛星が撮影した画像をもとに風速を計算しています。
風速○mはどれくらいの体感?
風速○メートルの強さなので注意!…といわれても、ちょっとピンときませんよね。
例えば、風速4~5メートルになると、帽子が飛ばされることがあります。
そのほか、風速による影響をまとめました。
- 風速10~15メートル:「やや強い風」と表現されます。傘をさすのが難しくなり、運転中だと風にあおられる感覚があります。
- 風速15~20メートル:「強い風」と表現されます。風に向かって歩けなくなったり、風に押されて転倒する危険があります。看板が飛んだり屋根瓦が落ちることも考えられるので、外を歩くのはあぶないです。
台風が接近しているときの対策や行動の参考にしてください。
台風の「大きさ」は「強風域」の大きさしだい
台風の「強さ」とは別に、「大きさ」も重要な要素です。
台風の「大きさ」は、風速15メートル以上のエリア、つまり「強風域」の半径で決まります。
この強風域の半径が
- 500キロ以上800キロ未満だと「大型の台風」
- 800キロ以上だと「超大型の台風」
と表現されます。
強風域と暴風域
【台風情報】
— ウェザーニュース (@wni_jp) August 28, 2024
28日(水)13時推定で、非常に強い勢力の台風10号(サンサン)は、鹿児島県屋久島の南南西をゆっくり北上しているとみられます。気象庁は13時に鹿児島県(奄美地方のぞく)に暴風・波浪特別警報を発表しました。災害発生のおそれがあるため、厳重な警戒が必要です。https://t.co/YnXyEM8bhM pic.twitter.com/BmsN2DMnME
「強風域」と似てるものに「暴風域」があります。
「強風域」は風速15メートル以上、「暴風域」は風速25メートル以上のエリアを指します。
小さい台風=弱い台風、ではありません!
ここで注意していただきたいのは、台風が大きいからといって必ずしも強いとは限らないということです。
逆に、小さいからといって弱いわけでもありません。
大きさと強さは別の基準で評価されるため、どちらか一方だけで台風の危険性を判断するのは避けるべきです。
ヘクトパスカルとは?
台風のニュースでは「ヘクトパスカル(hPa)」ということばもよく聞きます。
これは気圧を表す単位です。昔は「ミリバール(mbar)」と呼ばれていたものですが、現在では「ヘクトパスカル」として使われています。
台風情報でのヘクトパスカルというのは台風の中心の気圧のことです。
台風の「強さ」表現は、台風の中心付近の最大風速による、といいましたが、台風の中心の気圧も、台風の強さを示す一つの目安になります。
具体的には、ヘクトパスカルの数値が低いほど台風が強くなり、強い風や大雨を引き起こす可能性が高くなります。
気圧による台風の強さの目安をまとめました。
- 1000hPa以上:比較的弱い台風
- 980hPa〜999hPa:中程度の台風
- 960hPa〜979hPa:強い台風
- 950hPa以下:非常に強い台風、非常に大きな被害になるおそれがある
これらの目安を知っておくことで、台風の危険性をより正確に理解できるでしょう。
台風の進むスピードは「時速」であらわされる
台風が進むスピードは、時速○kmという単位で表現されます。
台風が海上を進んでいる時は、はやさは時速20kmくらい。これは自転車並みの速度です。
時速10km未満で台風がうごいているときは「ゆっくり」と表現されます。
しかし、日本に近づくと、そのスピードは時速30km〜50kmとなり、それ以上に速くなることもあります。
一般的に、夏よりも秋の台風の方がスピードが速くなる傾向があります。
また、近年は台風のスピードが遅くなってきているというデータもあります。
例えば、東京付近に近づいた9月の台風の平均速度は
- 1980年から1988年には時速約54km
- 2000年から2018年は時速約35km
と、ゆっくりになっています。
台風の速度が遅いと、その分長く台風の影響を受けることになるため、注意が必要です。
台風の「上陸」とは?「通過」「接近」との違い
台風の上陸というのは台風の中心が本土(北海道、本州、四国、九州)の海岸にきたことをいいます。
本土以外の島(たとえば沖縄)や、半島をかすめて横切った場合は、上陸ではなく通過といいます。
また、台風の中心が日本のどこかの半径300km以内に入ることを台風の接近と言います。
まとめ
台風の「強さ」「大きさ」「スピード」には、それぞれ明確な基準が存在し、その理解は防災対策を考える上で非常に重要です。
台風の「強さ」の表現は、台風の中心付近の最大風速で決まります。
また台風の「大きさ」の表現は、「強風域」の大きさで決まります。
また、台風の気圧の数値であるヘクトパスカル(hPa)が低いほど台風が強くなり、強い風や大雨を引き起こす可能性が高くなります。
台風の進路や強さについての情報を日々チェックし、早めの対応を心がけることが、災害から身を守るための最善策となります。
台風シーズンに備え、ぜひ参考にしてみてください。
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